店舗デザイン

ラーメン店の設計、内装・外装のポイント

日本人にとってのラーメン店

日本人にとってラーメン店とは、もっともポピュラーな外食店のひとつでしょう。
その中で、存在感を発揮しお客様に来店を促す為には、味はもちろんの事、店舗のデザインも重要なファクターになっていると思います。

ひと昔前までは、その分類も、味の違いで「味噌」「塩」「しょうゆ」「トンコツ」位でしたが、今では有名店及びその店をインスパイヤした、○○系ラーメンだったり、地域や、スープの違いによる分類等、味での差別化も拡大しています。
同様に店舗の外装・内装デザインについても、提供するラーメンの味やイメージ(個性)を象徴したものが増えているように感じます。

例えば、レトロな雰囲気のあるラーメン店の場合は外壁をトタンで仕上げたり、少し荒い木目を使用する等で古き良き仕上げを演出したり、内装は少し傷んだ様な仕上を選ぶ方法や暗めに店内を作る方法でデザインされたりします。
ドットの粗い電光看板を店前に置く事で昔ながらのお店を演出している店舗も見かけます。
逆に、高級感や新しさ、静かで落ち着いたイメージを演出する為に、綺麗な木目の外装を取り入れたり、あまり色を多用しない方法等で内装をまとめている店も増えてきている印象です。
ラーメン店の外装に関してはオーナーの求める店舗の雰囲気により大きく異なります。
どの様な店舗あるいはラーメン(個性)を目指しているかによって方向性が決まります。

 

カウンター席の効果

ラーメン店の内装では、ほぼ100%といっていいほど設置されているのが「カウンター席」です。
小規模なラーメン店の場合、席はカウンターのみという店舗も少なくありません。
カウンター席では店内における人の動き(動線)を最小限に抑えられるメリットがあります。

飲食店で一番お客様の動きを妨げる事は、オーダーを取る事と料理を提供あるいは食べ終えた食器を片付ける事です。
その動きを最小限に抑える事が可能なのがカウンター席の良い所です。
厨房からお客様にオーダーを取ることができ、料理の提供も厨房から行う事が可能です。
またお客さまが食べ終わったときにカウンターの上に食器を戻す様にすると、空いたお皿を片付けるという行為も最小限に行うことができます。

小規模の店舗では従業員の数も限られてくるかと思いますが厨房内で完結すれば人数も少なく済みます。
カウンター席ではお客様との距離が近い為、コミュニケーションが取りやすくなります。
店員の人柄でまた来たいと思うお客様もいらっしゃるかと思います。

カウンター席

回転率と席レイアウトの関係

店作りでの重要事項の一つに、お客様の回転率を上げる事があります。
カウンター席だとスペースも最小限で済み、1人で来店のお客様も集客しやすくなります。
テーブル席等ではスペースを余分に取り、数人で来るお客様が多い為、自然と滞在時間も長くなる傾向です。
小規模のラーメン店ではあまり効率的とはいえません。
また、対面で座る事がない為、長時間の滞在も少なく、一般的に回転数を増やす事が可能です。
ただ客席に広くスペースがとれるのに、カウンターだけのレイアウトにした場合、ファミリー層のリピートには繋がりにくいでしょう。
売上を伸ばすためには席数が多いほどいいと思いがちですが、窮屈なお店ではお客様が入りにくく、回転率を下げる原因になる事もあります。
店舗の広さや立地の客層、実際のオペレーションをイメージしながらレイアウトする事は、経営面から考えても特に重要なポイントです。

カウンター席とテーブル席

カウンター席とテーブル席の関係

席数は、一般的には1坪あたり1.5席が適正とされていますが、ファストフードやラーメン店の様に食べたらすぐに帰る滞在時間の短い店舗は、1坪あたり2席が目安とされています。
10坪の店舗なら20席を目標に設計するようにします。(必ずしも20席とれなければいけない、という事ではありません。)
仮に20席とした場合、全部を4人掛けのテーブル席にすると、1人客や2人客の多いお店では稼働率が低下し売上効率が悪くなってしまいます。
ランチタイムのビジネスパーソンをターゲットにするのであれば、U字型のカウンター席のみにし、テーブル席を設けない事も有効でしょう。
ファミリー層やグループ客をターゲットにする場合は、2人掛け用や4人掛け用のテーブルを配置し、人数に応じてテーブルを2卓つなげる等、臨機応変に対応できるレイアウトが便利です。
このようにカウンター席とテーブル席の配分は重要なポイントになります。
ラーメン店と同じく、広く世間に認知されている牛丼チェーン店も、立地の客層にあわせて、カウンター席とテーブル席の配分を上手く考えていると思います。

 

厨房について

使い勝手のよい厨房とは十分なスペースがあり、調理の動きにあわせて厨房機器がレイアウトされており、水回りや床が清潔に保てるように整備されていることです。
よく導入されている厨房機器を列挙すると、
ゆで麺機、スープレンジ、ガスコンロ、冷凍冷蔵庫、コールドテーブル(冷凍・冷蔵庫に作業台がついた機器)、2層シンク(流し台)、グリストラップ(排水のゴミや油分を除去する装置)、従業員用手洗い器等があります。
ちなみに、2層シンクとグリストラップ、手洗い器は、飲食店の営業許可を得る為に必ず設置しなければならないとされています。

厨房にはある程度、余裕を持ったスペースが必要です。
狭すぎると作業効率が落ちますし事故の元でもあります。
逆にあまり広すぎても歩行距離が長くなり、疲れ安くなってしまいますから注意が必要です。
調理に携わる従業員の人数が多い場合には、厨房内でのそれぞれの動線を考慮した工夫が必要になります。
油を多く使う業態ですから、掃除のしやすさも考慮しましょう。
換気扇やグリストラップ等、営業に必ず必要な設備機器は清掃メンテナンスに配慮された設計だと安心です。
こういった設備機器は様々な種類があります、最適な選択の為にも専門家に相談する事をお勧めします。

厨房

内装や家具の素材選びについて

ラーメン店の家具・仕上選びで大切な事は、清掃のしやすさです。
ラーメン店では油を使用する事が多い為、必然的に清掃は欠かせません。
基本的にテーブルは掃除が容易で耐久性の高い化粧板の仕上材が多く使われています。
椅子は生地によって拭きやすさが変わります。
合皮等のビニル製品は拭きやすい為、ラーメン店ではよく使用されます。

前述の通り油を使用しますから、床材は滑りにくい物が良いでしょう。
また、つなぎ目がある床では隙間にゴミや汚れが入り込み、掃除に手間がかかります。
掃除がしやすい様につなぎ目のない床材を選ぶと清潔感が保たれます。
これらを元にオーナーのイメージと会う物を選びます。

壁については特別に汚れが良く落ちる壁紙もありますが、デザインの種類が限られている為、普通の壁紙(クロス)を使用する事も多いです。
普通の壁紙でも凹凸が多い物は雑巾で拭くとボロボロになってしまいますのでなるべく凹凸が少ない壁紙を選ぶ事が多いです。
壁紙の素材も表面がツルツルの壁紙がありますのでそちらの方がより汚れを拭きやすくなります。
特に汚れやすくい壁面は壁紙ではなく、化粧板を貼る事もお勧めです。
費用が壁紙よりもかかりますが清掃の手間が大幅に削減できます。

一口にラーメン店といっても多種多様なお店が存在し、様々なノウハウがあります。
安心安全な営業の為にも、経験豊富な専門家に相談する事が大事だと思います。



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